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都立篠崎高等学校公開講座アンケート集計 ![]() 平成21年11月5日 ○参加者の性別 男性・・・2名、女性・・・8名 1 公開講座に参加するのは (1)今回が初めて‥‥3名 (2)2回‥‥2名 (3)3回‥‥1名 (4)4回以上‥‥2名 ※「4回以上」のうち1名は他校への参加を含めて4回以上。 ※上記以外に、回数は不明だが他校への参加経験のある方が1名。 2 今回参加して (1)大変満足‥‥8名 (2)満足‥‥1名 (3)まあまあ‥‥0名 (4)不満‥‥0名 3 講師、助手の説明、接し方はいかがでしたか。 (1)満足‥‥9名 (2)普通‥‥1名 (3)不満‥‥0名 ※講師について「満足」、助手に対して「普通」と答えた方が1名。 4 配布資料について (1)大変満足‥‥6名 (2)満足‥‥2名 (3)まあまあ‥‥0名 (4)不満‥‥0名 ※無記入の方が1名。 5 文学散歩について (1)大変満足‥‥7名 (2)満足‥‥1名 (3)まあまあ‥‥0名 (4)不満‥‥0名 ※無記入の方が1名 ○自由意見 ・千葉と江戸川の間を太日川が流れていたというのを最近知ったのだが、今回の講座で確認でき たのがうれしい。2回目の護国寺もこんなに古いものが残っていいたとは驚きであった。次回 もこのようなスタイルで新しい知識を発見できる講座を待っています。 ・天気にも恵まれ、護国寺も初めて本堂にあがらせていただき、御開帳にも立ち会わせていただ き、その他新しいことばかり見聞させていただき本当にありがとうございました。 ・小学生時代をここで過ごしましたが、鬼子母神出現所や水神神社などよく知らないスポットを 回ってくださって大変面白かったです。早稲田は数十年前はよく川が氾濫しておりました。ま た歴史散歩ができたらよろしくお願いします。 ・護国寺の近辺に40年前に住んでいました。2年半ぐらいでしたが、お寺さんのことを今回伺 い知り感激でした。涙ぐみました。改めてまたお参りさせていただきます。芭蕉庵にもかねて より訪ねたいと思っておりましたので念願がかないました。ありがとうございました。 ・引き続き文学講座をお願いします。 ・公開講座の時間数は決まった時間なのでしょうか(ちなみにK高は2日10時間でした)。負担 される先生の御苦労も多いかと思いますが、少し増えるといいなと思っております。助手の方 の説明にかける割合を多くしても良いのでは?総じて楽しいです。説話というたいていは知っ ているお話なのでもっと多くの人に受講してもらいたい希望です。ありがとうございました。 ・資料がカラーだともっと嬉しいですが、経費削減折り、難しいですよね。行ったところも多か ったけれど初めての所もあり、特に護国寺は初めていきましたが、中に入れて詳しい説明も受 けられて大変ためになり、興味深かったです。またやってください。 ・とてもよかったです。非常にためになりました。また参加したいと思います。 ・講座参加希望の応募を以前に2回行ったが抽選で駄目でしたが希望者が多いのか?参加拒否の 理由は別にあるのだろうか?大変良い講座なので先生方の都合の付く折は続けてください。小泉 弘(元北海道学芸大学国文学教授)先生の弟子です。(説話文学では結構有名)-------------------------------------------------------------------------------- 第四回東京都立篠崎高等学校文学歴史公開講座 文学歴史散歩報告 主幹教諭 田辺謙一 ![]() コース 護国寺山門集合9時・本堂見学、ご本尊開帳、僧による解説→鬼子母神出現所→幽霊 坂→新江戸川公園→水神八幡→関口芭蕉庵→江戸川公園→江戸川橋解散12時 座学公開講座の「長谷寺(真言宗豊山派総本山)霊験記」=藁しべ長者譚を受け、 晴天に恵まれた10月31日(土)文京区の(真言宗豊山派大本山)護国寺山門9時集 合で講座を開始した。 ここは、夏目漱石『夢十夜』第六夜の舞台として描かれている所である。高校1年 生の現代文教材として採用され、よく知られている作品である。「運慶が護国寺の山 門で仁王を刻んでいるという評判だから、散歩ながら行ってみると、自分よりさきに もうおおぜい集まって、しきりに下馬評をやっていた。」で始まる本作品が、日本人 の伝統的美意識である、丹塗りの赤と松の青、松と山門との配置の妙、(これは、現 在の小岩「善養寺」の影向の松や柴又帝釈天の本堂前の松をイメージすると、屋根の 緑青や、黒瓦の色彩とのバランスの素晴らしさという美意識を見て取れる)を冒頭に 置き、次に明治の見物人の態度について、皮相的なものの見方(退屈しのぎ辻待をし て退屈だからの見物や発言の無教育さ人間を拵えるよりも余っ程骨が折れるだろう) を記し、文明開化=西洋文明=人工で自然を制御することをよしとする=を盲目的に 追従、に対する批判、絶望を記しているということの解説から講座を開始した。漱石 は見物人の若者の解説=運慶に対する評価である「大自在の妙境」に、日本芸術の理 想である自然との一体化を主張しており、その話を聞いて、主人公をそれまでの傍観 者、待つ立場から初めて行動に移させる。その結果、「ついに明治の木にはとうてい 仁王は埋まっていないものだと悟った。それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ わかった。」と明治文化への批判で第六夜を閉じている。また、「人間を拵える」と いう点に着目し、木から仁王を掘り出すとは、分娩の隠喩であり、運慶はこの世に生 命を送り出し、また無限の中に生命を送り出すものの仮の名であるという一説がある ことを付け加えた。 また、目前の日本大学豊山中。高等学校が故郷の中学校を首になった無頼派の坂口 安吾の卒業校である事や、江戸時代に流行した富士講の名残の解説をし、本堂へむか った。テキストには、『江戸名所図会』を採用したので、江戸時代のイメージを持た せるようにした。名所図会に描かれた桂昌院寄進の「唐銅蓮葉型手洗水盤」はそのま ま現存していることを確認しつつ、本堂では、護国寺僧による本堂の解説(びんづる 尊者、猿柱、天井図、絵馬、綱吉直筆の「悉地院」の額(しっかりとした力強さ、真 面目さを感じさせる)を受け、ご本尊の「本瑪瑙石如意輪観音像」のご開帳とその説 明をしていただいた(24日に講師、助言者で事前打ち合わせ、要請、申込書記載申 請をした)。僧による講和、ご本尊のご開帳=小首をかしげた穏やかなお顔の如意輪 観音像=を堪能し、大隈重信・三条実美・山県有朋・安田善次郎・大倉喜八郎・ジョ サイアコンドル・松平不昧・明治の紫式部と呼ばれた下田歌子の墓地を見学し、江戸 ー明治ー現代をつなぐ護国寺を後にした。 『江戸名所図会』を確認しつつ、「鬼子母神出現所」から歩を進め、夜寒坂―幽霊 坂を下り、新江戸川公園の池水型回遊式庭園をゆっくりと回り休憩後、水神神社に上 がり、松尾芭蕉についてテキストに基づく解説後、関口芭蕉庵に入り、ゆっくりと時 間をすごした。ここでは、テキスト巻末につけた江戸、明治、大正、現在の地図を比 較しつつ、『名所図会』の「芭蕉庵」図、「目白不動堂」図をもとに、夏目漱石の原風 景を記している『硝子戸の中』の抜粋を解説し、早稲田から神楽坂への散歩コースと いうお勧めをした。 明治40年9月、12年ぶりに早稲田に帰ってきたとき、漱石の原風景は破壊して いた。『硝子戸の中』23には「私が早稲田に帰って来たのは、東京を出てから何年 振になるだろう。・・・私は昔の早稲田田圃が見たかった。然し其所はもう町になっ ていた。私は根来の茶畑と竹藪を一目眺めたかった。然しその痕迹は何処にも発見す ることが出来なかった。多分この辺だろうと推測した私の見当は、当たっているのか、 外れているのか、それさえ不明であった。 私は茫然として佇立した。何故私の家だけが過去の残骸の如くに存在しているのだ ろう。私は心のうちで早くそれが崩れてしまえば好いのにとおもった。」 同19「坂を下り切ったところに、間口の広い小倉屋という酒屋もあった。(現存) 尤もこの方は倉造りではなかったけれども、堀部安兵衛が高田馬場で敵を打つ時に、 此処に立ち寄って、枡酒を飲んで行ったという履歴のある家柄であった。私はその話 を小供の時分から覚えていたが、ついぞ其所に仕舞ってあるという噂の安兵衛が口を 着けた枡を見たことがなかった・」 これらを解説し、『名所図会』にその片鱗を見てとれること、また、関口芭蕉庵に その雰囲気を味わえること、本日の散歩をきっかけとして、明治時代の文学作品を読 んで、より多角的な文学理解や、鑑賞につなげて欲しいと講座を終了した。 平成21年度第4回篠崎高等学校文学歴史公開講座は、全て終了しました。22年 度については、全て未定でありますが、東京都教育委員会のホームページから各都立 高校のホームページにアクセスし、講座内容や、講師を見て、公開講座の梯子をして みるのも一興ではないでしょうか。 以上受講生の皆様方に感謝しつつ報告に変えさせていただきます。 平成21年度 第4回 東京都立篠崎高等学校文学歴史公開講座・文学歴史散歩 講師 主幹教諭 田辺 謙一 助言者 教 諭 田中 啓之 教 諭 日高 由起子 (2009.11.2)-------------------------------------------------------------------------------- 第四回東京都立篠崎高等学校文学歴史公開講座報告 主幹教諭 田辺謙一 ![]() 本年度のテキストの表紙は、浮世絵師の歌川広重『江戸名所百景』秋95景「鴻の台とね 川風景」と夏71景「利根川ばらばら松」という本校付近といってもよい江戸時代の風景図 を用いた。崖下の利根川(江戸川)を行く奥周り廻船の連続5艘を徳川幕府による利根川水 路の架け替えによる江戸への物資運搬の姿であり、また、投網漁による白魚取りなど、当時 の交通や漁についての解説から入り、以下テキストに基づく講座を行った。 昨年度の第3回は、芥川龍之介の歴史ものといわれる今昔物語集等の説話に取材した作品 を、原典との比較で論じたが、今年度は、説話集編者自身が実は、その編集時代の「芥川龍 之介」であったのではないかという仮説をもとに検証を加える内容の講座に取り組んだ。す なわち、『宇治拾遺物語』巻1−18「利仁、署預粥事」のうち最後の「かくて、よろづの 事、たのしといへばおろか也。」以降をばっさりと切り捨て、主人公「五位」の致福譚とい う主題をすっかり変更してしまっている。原典は、選ばれた存在としての五位が、異界(敦 賀の利仁邸)に出かけ、祝福を得て帰還するというものであり、貧しい者が富める者へと変 身するという、世俗説話である。この仮説を証明するために、テキストに『宇治拾遺物語』 巻7−5「長谷寺参籠男、預利生事」を掲載し、同文的同和である、『今昔物語集』『古本説 話集』の原文との詳細な比較を行った。 説話集は、基本的に先行文献があり、例えば『古事談』のように、原典の間違いまで忠実 に採録している例はあるものの、一般的には、編者が、自己(自分たち)の特定の価値観に よって、表記方法を変えたり、その時代にそぐうものに改編する。上記は、「わらしべ長者」 の昔話として、現在は、勧善懲悪=道徳物となっているが、おそらくは、三方が原で武田軍 の孫子の兵法に大敗した徳川家康が、儒学者林羅山をブレーンとして採用し、方向寺の鐘名 で、無理やり難癖をつけ、豊臣氏を追い詰めた経緯をかんがみて、徳川幕府が朱子学を導入 し、庶民への道徳テキスト化していくための昔話化という、うがった?見方を提示してみた。 さて、比較結果だが、馬を交換するのに『今昔』、『古本』ともに「衣」であるが、『宇治』 は「銭」となり、もっとも新しいことが分かる。また、虻の飛ぶ様の「ぶめく」という表記 が『今昔』にはなく、また、『今昔』は観音霊験譚として編集されていること、『宇治』は「子 孫などいで来て」と『古本』にない表記を加えていること等を説明し、より「致福譚」化し ていること証明した。この観点から、巻11−10日蔵上人、吉野山二テ逢鬼事が、おそら くは「道賢上人冥途記」を『宇治』の編者が熟読し、生々しい表記を全面的に改編したもの ではないのかという点を提示してみた。さらに、「しだら神」上洛事件から、天神信仰の原 典としての位置づけの説明、本来託宣の神としての八幡信仰が、頼信願文以降源氏の信仰か ら武神化したが、頼朝が、鶴岡八幡宮を鎌倉に勧請するに当たって、荏原天神社をも合わせ て勧請したのは、この「しだら神」上洛事件のことをレポートした「吏部王記」にその原典 を見ることが出来るという解説を加えた。つまり、原典の改編ということが常態化している ことや、その時代によって、主題が変更されることがあるのである。そういう観点から、「瘤 取り爺さん」「すずめの恩返し」について、原典を読みつつ、昔話と原典がどう違ってしま ったのかということを講義して、あっという間の2時間が終了した。次回は、10月31日 文学歴史散歩である。わらしべ長者の話に出てきた、現真言宗豊山派総本山長谷寺が、徳川 家康によって江戸に勧請された。ここを基点として、夏目漱石、松尾芭蕉、池波正太郎・・ を解説する散歩である。 平成21年10月22日中間考査採点中の記-------------------------------------------------------------------------------- 「説話文学と明治、大正の東京」アンケート結果集計一覧表 (11月10日現在) 女性・・・5名 男性・・・2名 未回答 3名(男性1名 女性2名) 1 本校公開講座の情報は、なにで知りましたか? 本校ホームページ 1名 東京都ホームページ 1名 江戸川区報 5名 2 公開講座に参加するのは? @今回が初めて 4名 A2回目 2名 B3回目 1名 C4回以上 0名 3 今回参加して @大変満足 4名 A満足 3名 Bまあまあ 0名 C不満 0名 D未回答 0名 4 講師、助手の説明、接し方はいかがでしたか @満足 7名 A普通 0名 B不満 0名 4 配布資料について @大変満足 3名 A満足 3名 Bまあまあ 0名 C不満 0名 未回答1名 5 文学散歩について(参加者9名) @大変満足 5名 A満足 2名 Bまあまあ 0名 C不満 0名 6 その他の要望等 文学散歩の満足度が高い。講義(資料)が難しかった。次回の講義を楽しみにしている。 など-------------------------------------------------------------------------------- 第2回文学歴史公開講座報告 平成20年10月18日 文学歴史散歩 コース 巣鴨A4出口集合9時〜染井霊園(高村光太郎―二葉亭四迷― 水原秋桜子―山田美妙)−勝林寺(田沼意次・長谷川平蔵・池 波正太郎の「剣客商売」「鬼平犯科帳」)−慈眼寺(芥川龍之介・ 谷崎潤一郎)−本妙寺(振袖火事=明暦の大火・遠山金四郎と 鳥居耀蔵・千葉周作)−高岩寺(とげぬき地蔵)−眞性寺(江 戸六地蔵)−巣鴨 芥川龍之介の歴史ものの小説の原典を机上講習会で行った後の、文学歴史散歩である。 龍之介の眠る慈眼寺をメインに据え、まず染井霊園に歩を進めた。近代文学の解説を日高 教諭が行い、講師が補足した。近代文学史の中での言文一致運動の担い手である二葉亭四 迷、山田美妙の墓に詣でると共に、岡倉天心(芸術大学前進)、水原秋桜子(新興俳句運動) にも詣でた。また、歴史的事象については講師が解説を行った。勝林寺では「剣客商売」 で美冬の父として秋山大治郎を婿に迎え、父小兵を信頼し、いつも「政務に忙殺」される 設定の田沼意次の墓を参拝。同時代には長谷川平蔵もかぶっている。鬼平犯科長での巣鴨 村は、平蔵の母お園の実家である三沢清衛門の家があるという設定((本所桜屋敷)や、鹿山 の市之助の盗人宿(「流星」)が染井霊園近辺という設定、更に眞性寺辺りとなろうか、女 スリの業師で平蔵も瞠目したお富の家が設定されている。「暗剣白梅香」で平蔵を狙う魔剣 の剣士金子半四郎の浪宅の設定されたのも駒込村と近い設定であり、植木職人の離れとい うことも池波正太郎が時代設定を正確に捉えていることの証左であるという説明、解説を 行った。そしていよいよ芥川の眠る慈眼寺である。墓地は染井霊園と隣接しており、芥川 の墓地入り口には解説の無いままの谷崎潤一郎の墓がある。芥川の墓石は彼の作品の大部 分を装丁した画家の小穴隆一が「本を装丁するように墓も頼む」と依頼されていた(「鯨の お詣り」S15)にあるように「台石を平素彼が敷いていた二枚の座蒲団の寸法に倣って定め た」質素なものである。河童忌として今日も毎年供養がされている。さて、狭い道を西に 進み、右折して少し上ると本妙寺である。明治44年当地に移転したのだが、明暦の大火の 火元といわれている。H2の田中聡の「怪異東京戸板がえし」には、おもしろおかしく振袖 火事の伝説が語られているが、由比正雪の残党の放火説から、火災後の復興のスピードか ら、幕府の計画的犯罪説まで多様な解釈がなされている。季節風の吹きすさぶ中、正月十 七、十八の連続三箇所からの出火によって、江戸城の本丸が消失したことからも火勢の強 烈さがわかる。両国駅南の本所回向院は、焼死者を埋葬した跡に建てられたものである。 その供養等をめぐり、遠山金四郎の墓に詣でる。天保の改革での水野忠邦と腹心鳥居耀蔵 甲斐の守=耀甲斐=妖怪と対立、三年間の北町奉行を解任され、水野の失脚とともに南町 奉行として復活、8年間勤め退任。世に名奉行の評判で、現在は水戸黄門、大岡越前の守と ともに有名であるが、まともに幕政改革に努力したのは、鳥居耀蔵甲斐の守=耀甲斐=妖 怪の方だった様な気がする。「白河の清き流れにすみかねてもとの濁りの田沼恋しき」とい う川柳から覗える世界である。明治―大正―江戸の旅から再び中山道の地蔵通りに入り、 延命地蔵尊をまつる、とげぬき地蔵としていつでも賑わっている高岩寺で、今回の講座は 終了である。地蔵通りというのは、江戸六地蔵を祭った、眞性寺によるものであることの 説明、病気回復、諸国往来者との永世縁を結ぶために造立されたものであり、今日の無事 を感謝して解散した。 本講座で解説したように、芥川が、原典をどう削って、どのように付け加えて作品を創 っていったのかという視点から、芥川の逆説手法に注目し、また墓地を詣でることによっ て、再度作品を読み直すきっかけ、そして芥川のよさ再発見のきっかけになっていただけ れば幸いであります。また、東京に暮らすものとして、各地の歴史に目を向け、東京によ り親しんでいただけることは、何よりも嬉しいことであります。 平成20年度の東京都立篠崎高等学校文学歴史公開講座は、受講生からのアンケートを 残して終了しました。21年度についても実施予定です。詳細は、来年度4月以降の発表 となります。 講師 主幹 田辺 謙一 助言者 教諭 日高由起子 -------------------------------------------------------------------------------- 平成20年度東京都立篠崎高等学校文学歴史公開講座(報告) 9月27日(土)本校視聴覚室に於いて第一回講座が行われた。内容は、芥川龍之介の王 朝物といわれる作品群の原典である今昔物語集・宇治拾遺物語・古本説話集・十訓抄・古今 著聞集の作品を読みながら、芥川が原典をどのように引用し、改編し作品化していったのか をテキストをもとに講義したものであった。 芥川龍之介の「羅生門」は、高校1年生の教材として取り扱われていることや、「地獄変」 の原典である「絵仏師良秀家の焼くるを見てよろこぶこと」が、歴史的仮名遣いを学ぶ意図 をもって採用されているという説明から入り、彼の作品が十代の感受性、知的好奇心に訴え かけてくる事、すなわち作品の要素がある事実をひねって、逆説的に解釈するという手法の 説明があった。たとえば「芋粥」は、あこがれていた事が実現されそうになった瞬間に失望 してしまう五位が描かれている。これは、一般的には夢は実現される事が幸せになるという こととは正反対の、夢は実現されないほうが幸せであるというパラドックス(逆説)となっ ている。若者の純粋さには刺激的である。しかし、原典の「所得たる五位」がその後1ヶ月 ほど「利仁」の」舘で何不自由なく暮らした事や貢物で裕福になった事や、今昔の、こうい った身分のものは自然とこのように裕福になるものだという結語については、一切触れてい ない。つまり、芥川は原典のうち、先に述べた主題の部分を強く打ち出す為に原典を利用し つつ無関係部分をばっさり切っているのであった。 原典を忠実にたどりながら、突然話題をそらす「六の宮の姫君」、原典を大幅に改編し迷 宮小説化した「藪の中」を読むことによって、芥川が古典の中の歴史上特に取り上げられる 事もない人物を作品の中心に据え原典の副人物をを主人公と逆転させ主役にしながらその 心理を描いていくことによって、逆説的なテーマをつくっていく事を見抜きながら、文学を より楽しんでいただきたいとの講義であった。 第二回は10月18日(土)巣鴨で文学歴史散歩が行われる。米経済から重商主義経済へ の転換を図った田沼意次や江戸の有名人遠山の金さん、本因坊歴代の墓を参拝し江戸時代に 思いを馳せ、言文一致運動、高村光太郎、そして芥川龍之介の墓に詣で、文学への親しみを 誓うと共に、刺抜き地蔵をたずね、江戸六地蔵をお参りし、地蔵通りで買い物をするという プランである。 東京都立篠崎高等学校文学歴史公開講座 講 師 国語科 主幹 田辺 謙一 助言者 国語科 教諭 日高由起子 -------------------------------------------------------------------------------- 平成20年度都立篠崎高等学校公開講座 (募集は終了しました) 講座名 「説話文学と明治、大正の東京」 第1回目 芥川龍之介の作品の原典である今昔物語集や芥川龍之介の作品について解説・研究をおこなう。 第2回目 講義内容のゆかりの土地を散策し、作品への理解を深める。 日 時 9月27日(土) 14:00〜16:00 (本校) 10月18日(土) 9:00〜12:00 (巣鴨周辺散策) 費 用 1,000円 内訳 受講料500円 文学歴史散歩時に加入する傷害保険料500円 定 員 20名 申込み 往復はがきに「講座名」・「住所」・「氏名」・「年齢」・「性別」・「電話番号」 を記入して郵送又は電子申請(記入内容は東京都のホームページから電子申請のホーム ページへアクセスして確認してください。)による。 申込期間 9月1日(月)から9月11日(木)消印有効 申込み多数の場合は、抽選を行います。 郵送先 〒133−0063 東京都江戸川区東篠崎1−10−1 東京都立篠崎高等学校 公開講座係あて 電話(3678)9331 予定散策コース 巣鴨駅を中心として明治の文豪の眠る染井霊園 を初めとして「とげぬき地蔵」で有名な高岩寺、 真性寺、そして本講座の主眼である芥川龍之介の 墓を巡ります。(詳細は、第1回講義時にお知らせ いたします。) 以下は平成19年度の公開講座の記録です。すでに終了しています。 第2回 篠崎高等学校文学歴史公開講座(実施報告) 講 師 主幹 田辺謙一 (国語科) 助言者 教諭 日高由起子 (国語科) テーマ 平将門をめぐって -中央の意識と将門記との落差への一考察― 日程 9月28日(土)14時〜16時 本校視聴覚教室 テキストによる講座 今昔物語集、古事談による、将門像と将門記の将門像と の落差をとうして歴史の真実に迫ることを目標に、実施。 一方、清和源氏経基から満中そして頼光、頼親、頼信の 説話上の扱いと藤原保昌について考察を加え、江戸名所 図会の神田神社の絵図についての背景の考察(御伽草紙) を実施。 10月13日(土)9時〜12時 文学歴史散歩 湯島聖堂9時集合 コース 聖堂→神田神社→東京大学赤門→三四郎池→安田講堂→竜岡門→ 無縁坂→不忍池弁天島解散 テキストをもとに、聖橋の由来、昌平坂、徳川綱吉の解説から入り、 神田神社では、明治に入ってから祭神を朝敵として外された平将門 を、NHK大河ドラマ「風と雲と虹と」により市民の力によって復活 したことなど、講座の復習をしながら東大へ。赤門では、葵の瓦の下 に、梅の瓦を配し、臣下の礼を(謀反の疑いをかけられないため)尽 くした加賀前田家の話しや、「本郷もかねやすまでは江戸のうち」と言 ったように、現在の山の手は水の便が悪くかえって人が住み辛かった こと、江戸の町が如何に水を求めたか等の地理的な話、帝国大と書か れているマンホールのふたを見ながら、三四郎池へ。日高教諭による 夏目漱石「三四郎」解説の後,安田講堂下の食堂、売店見学をし無縁 坂へ。土蔵で有名な講安寺境内で。森鴎外「雁」解説後、昨年の出発 点である弁天島で解散した。比叡山の僧「天海」による鬼門封じとし ての、神田神社、東叡山寛永寺そして裏鬼門封じの山王日枝神社の配 置によって今日の東京の繁栄があるという、風水的発想の話で講座を 終了した。 平成20年度の講座については、実施予定はあるが、人事異動もあり詳細は20年度に入 ってから。都庁のホームページ、公開講座を参照してください。 「説話文学と江戸、明治の東京」アンケート結果集計一覧表 (10月25日現在) 女性・・・11名 男性・・・1名 未回答 男性1名 1 公開講座に参加するのは @今回が初めて・・・7名 A2回目 ・・・4名 B3回目 ・・・0 C4回以上 ・・・1名 2 今回参加して @大変満足 ・・・7名 A満足 ・・・3名 Bまあまあ ・・・1名 C不満 ・・・0 D未回答 ・・・1名 3 講師、助手の説明、接し方はいかがでしたか @満足 ・・12名 A普通 ・・・0名 B不満 ・・・0 4 配布資料について @大変満足 ・・・7名 A満足 ・・・5名 Bまあまあ ・・・0 C不満 ・・・0 5 文学散歩について(参加者10名) @大変満足 ・・・7名 A満足 ・・・3名 Bまあまあ ・・・0 C不満 ・・・0 6 その他の要望等 回数を増やしてほしいが多数。年齢制限が無く参加することができた。文学散歩の満足度が高い。 次回の講義を楽しみにしている。など 平成19年度都立篠崎高等学校公開講座のご案内
1 講座名 「説話文学と江戸、明治の東京」
平将門、平頼光四天王、そして夏目漱石の作品をめぐって講義を行い、講義内容の
ゆかりの土地を散策し、作品への理解を深める。
2 日時及び場所
平成19年 9月29日(土)14:00〜16:00 都立篠崎高等学校視聴覚室
平成19年10月13日(土) 9:00〜12:00 お茶の水〜上野周辺
3 費用 1,000円 (内訳)受講料500円 保険料500円 (予定)
但し、交通実費は別途必要
4 募集定員 20名
5 申込み
往復はがきに講座名・住所・氏名・年齢・性別・電話番号を記入して郵送又は電子
申請(記入内容は東京都のホームページから電子申請のホームページへアクセスして
確認してください。)による。
6 申込期間
平成19年9月1日(金)から9月10日(月)消印有効
7 郵送先 〒133−0063
東京都江戸川区東篠崎1−10−1
東京都立篠崎高等学校 公開講座係あて
電話(3678)9331
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